結論:会社から役員への貸付を、貸付年から読む
会社が役員へ貸したお金の利息は、資金の出どころと貸付年を分けて確認する必要があります。国税庁No.2606の2026年中の貸付に関する1.3%は、すべての契約に一律に設定する推奨利率ではありません。
貸付金返済表貸付日・残高・利息の欄を分けて読む登録なしで使えます開く
この記事は会社から役員へ貸す方向について、源泉所得税における利息相当額と給与課税の説明を整理します。役員が会社へ資金を貸す「役員借入金」や、会社側の法人税の処理へは広げません。
判定:契約の利率と、税務上の評価を区別する
契約で決めた利率と、経済的利益を評価する利率は役割が違います。国税庁の説明は、まず資金の出どころを分けています。
| 貸付の条件 | No.2606などで確認する情報 |
|---|---|
| 会社が他から借りて貸す場合 | その借入金の利率。転貸した資金であることが明らかか |
| その他の場合 | 貸付けを行った日の属する年に対応する利率 |
| 無利息・低い利息の場合 | 評価した利息と実際の利息の差額、課税しなくてもよい条件 |
2026年9月30日、No.2606に掲載された年別の利率の箇条書きを数えるとn=8区分でした。直近は2022〜2025年中の貸付が0.9%、2026年中の貸付が1.3%と別の区分になっています。返済する年の数字へ毎年置き換える、という説明ではありません。
もう一つ、返済表に入っている数字も別に確かめました。自サイトの貸付金返済表は、30万円を10回の元金均等で返す年2.0%のサンプルです。元データのn=10行について、返済前残高×2.0%÷12を円未満四捨五入して別計算しました。
| 見本の行 | 返済前残高 | 元金返済 | 利息の別計算 | 返済額 |
|---|---|---|---|---|
| 1回目 | 300,000円 | 30,000円 | 500円 | 30,500円 |
| 2回目 | 270,000円 | 30,000円 | 450円 | 30,450円 |
| 10回目 | 30,000円 | 30,000円 | 50円 | 30,050円 |
| 10回の合計 | — | 300,000円 | 2,750円 | 302,750円 |
利息・返済額・返済後残高は10/10行で元データと一致しました。この測定は見本の算数の照合です。2.0%を役員貸付の適正利率として推奨したり、2,750円を税務上の経済的利益と認定したりする結果ではありません。
一次資料:貸付年・借入金利・集計期間を読む
利率の数字だけを切り取らず、適用する前提と一緒に読む必要があります。以下は国税庁の現行本文にある短い記載です。
「貸付けを行った日の属する年」
— 国税庁 No.2606「金銭を貸し付けたとき」利息について(2)、令和8年4月1日現在 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2606.htm(2026-09-30 到達)
同ページは、その他の場合の利率をこの年で分けています。無利息や低い利息で貸したときは、一定の例外を除き、評価額と実際の利息との差額が給与として課税されると説明しています。
「その借入金の利率」
— 国税庁「所得税基本通達」36-49(利息相当額の評価) https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/04.htm(2026-09-30 到達)
会社が他から借り入れて貸し付けたものであることが明らかな場合の説明です。2026年なら常に1.3%とする読み方とは異なります。資金の関係と契約の条件が必要な情報になります。
「その法人の事業年度」
— 国税庁「所得税基本通達」36-28(3)(課税しない経済的利益) https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/03.htm(2026-09-30 到達)
同通達には災害・疾病等の資金、合理的な利率、一定額以下の利益という条件があります。(3)の5,000円以下は元金ではなく経済的利益の合計です。事業年度を持つ法人はその事業年度で集計し、1年未満なら月数で調整する説明もあります。一つの返済行だけで例外を判定する数字ではありません。
間違えやすい点:元金・利息・利益の差額を分ける
返済表で元金と利息を分けても、税務判断まで終わったことにはなりません。記録の数字がどの意味かを揃えることが先です。
| 読み違い | 区別する点 |
|---|---|
| 役員貸付金と役員借入金は同じ | 会社から貸す/会社が借りる方向 |
| 現在の年の率をすべての残高へ使う | 貸付日と資金の出どころ |
| 見本の2.0%が会社共通の標準 | サンプル条件と個別の契約条件 |
| 利息合計が5,000円以下なら自動的に問題ない | 評価との差額・集計期間・例外の条件 |
自サイトの金銭消費貸借契約書は無利息・一括返済の別見本です。その文面と2.0%・分割返済の表は、そのまま一組の契約資料にはなりません。今回は見本同士の条件や書式を変更していません。
測っていないこと・ここから先は推論
個別の適正利率、給与課税額、源泉徴収額は算定していません。実測は公表の8区分の計数と、既存返済表10行のサンプル値の別計算です。Excel(エクセル)再計算、日割計算、実際の入金、利益供与の適否、法人税の益金・損金、債権放棄や貸付金の消し方は未評価です。
次の1手
貸主と借主、貸付日、資金の出どころ、実際の利息が確認の入口です。返済表では元金・利息・残高を分けて読めます。サンプルの利率を採用する判断ではなく、契約と返済記録の条件が揃っているかを確かめる資料になります。