結論:示談金という名前だけで非課税とは決まらない

個人が受け取る示談金は、何に対する補償かを分けて読む必要があります。心身の損害に対する慰謝料など、所得税で非課税となるものがある一方、事業の収入に代わる補償や必要経費の補てんなどは扱いが異なります。

示談書合意の対象となる損害と金額の欄を読む登録なしで使えます開く

本記事は受け取る側の所得税を扱います。支払者の経費処理や法人税、贈与税などを一緒に判定する記事ではありません。「示談金○円」という総額だけでは、損害の対象や補償の内訳が分からないことが最初の論点になります。

示談金の名目から補償対象へ読み進める自作図

判定:補償の対象を分けて公的説明と照らす

受け取ったお金が何を補うかを整理します。下表は国税庁の説明に沿う一般的な区分で、読者の事案にそのまま当てはめる判定表ではありません。

補償するもの 所得税の公的説明で確認する点
心身の損害 治療費・慰謝料など。負傷により働けない間の給与・収益補償も含む説明がある
資産の損害 突発的な事故による資産の損害と、事業の収入を補うものを区別する
必要経費 経費となる支出を補てんする部分は、所得の収入金額とされる場合がある

2026年9月30日、国税庁No.1700の「事業用の資産の場合」に番号付きで掲載されたn=3事例を数え、記載された扱いを整理しました。

公表された例の対象 掲載本文の扱い
配送中の事故で使えなくなった商品 事業所得の収入金額
店舗の補修中に借りる仮店舗の賃借料 事業所得の収入金額
事故で廃車にする事業用車両の損害 非課税。資産損失計算では補てん分を差し引く説明

この部分の集計は、収入金額とする説明が2例、非課税とする説明が1例でした。あくまで同ページの事例構成を数えた結果です。非課税になる確率が3分の1という意味ではありません。事例を見つける入口として、同じ事業用資産でも対象が違うことを示しています。

国税庁の掲載3事例の内訳を示す自作図

一次資料:非課税の範囲と経費補てんの扱い

非課税となる説明にも対象の条件があります。法令本文と国税庁の説明を、補償の対象ごとに照らし合わせます。

「心身に加えられた損害」

— 所得税法施行令第30条第1号(非課税とされる保険金、損害賠償金等) https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/340CO0000000096(2026-09-30 到達)

同号は慰謝料その他の損害賠償金を扱い、その損害により勤務・業務に従事できなかったことによる補償を含めています。身体の損害に伴う収益補償と、事業一般の収益補償を混ぜない読み方が必要です。

「収入金額に代わる性質」

— 国税庁 No.1700・事業用の資産の場合(1)(令和8年4月1日現在) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1700.htm(2026-09-30 到達)

商品などの棚卸資産の損害に対する説明です。物が壊れた補償なら全部同じ扱い、とはなりません。上の3事例の集計もこの本文によります。

「事業所得の総収入金額に算入」

— 国税庁 No.2201「個人事業者が事業所得の必要経費を補てんするための損害賠償金を受け取ったとき」(令和8年4月1日現在) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2201.htm(2026-09-30 到達)

既に経費にした費用だけでなく、将来経費にする費用の補てんも説明されています。仮店舗の例では、受け取った補償金と支払った賃借料をそれぞれ扱う説明で、受領額がそのまま納税額になるわけではありません。

間違えやすい点:総額だけを見ない

書面の損害欄と金額欄を対応させると、税務の確認に必要な情報が何か見えてきます。内容の不明な総額から、内訳を推測して埋めることはできません。

読み違い 分ける点
示談金と書けばすべて非課税 補償の対象と性質
収入金額になれば受領額すべてが税額 収入・必要経費・所得・税額
物損なら商品も事業用車両も同じ 何が損害を受け、何を補ったか
一般的な示談書でどの事故も扱える 見本の用途と合意の範囲

自サイトの示談書は確認済みの物損を金銭で解決する限定例です。机の修理費を例にしていますが、それだけで税務上の結論を示すものではありません。人身事故や保険対応中の案件向けの書面として案内していません。

テンプレートに架空入力を渡し、保存後の内容も確かめました。 2026年10月1日、やっとくんの「示談書」の現行生成処理で、損害の対象と支払額を別欄に残すための架空データをn=2件作りました。各件で対応する2欄を変更し、Word(ワード・DOCX)へ保存して別の読込み処理で照合すると、計4欄すべてが指定した値と一致しました。元の配布物を上書きせず、生成と文字・セル値の保存だけを測った結果です。印刷、送信・提出、受理、法令上の適否は検証していません。

測っていないこと・ここから先は推論

個別の示談金の課税関係や申告要否、税額は判定していません。測定は国税庁ページの番号付き3事例の数と記載された扱いの内訳です。現実の示談書や入金を調査したものではなく、贈与税・相続税・消費税・法人税、賠償額の妥当性、合意の効力も未評価です。

次の1手

何の損害を、どの金額で補う合意かが確認の入口です。示談書の見本では、事案・合意対象の損害・示談金が別の欄になっています。内訳と費用との対応が不明な部分は、税務の相談時に確認する論点として残ります。

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