結論

領収書をなくしたときは、店の再発行、社内の精算承認、税務上の保存を分けて考えます。 失くした事情を書いたメモや出金伝票だけで、三つが一律に解決するわけではありません。

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国税庁のインボイスQ&A問24-5は、小売店がレシート形式の適格簡易請求書を一度交付した後、顧客が紛失した事例を扱っています。後日求められたときについて、一次資料の節の引用のように説明します。

これは、その事例における消費税法上の交付義務の説明です。すべての店が再発行を断るという意味でも、店が任意に対応できないという意味でもありません。

紛失と、一度も交付されていない場合は別

同じ「手元にない」でも、最初に交付されたかでQ&Aの説明が分かれます。 一度も交付していない場合については、レジで発行できる期間が限られることだけで、次の扱いにはならないとしています。

具体的な取引記録が示され、交付すべき事情が認められる場合という条件があります。また、店が交付しようとしたのに顧客が受け取らなかった場合を、交付済みとして差し支えないという注記もあります。「受け取っていない」という一言だけでは、これらを区別できません。

交付済みの紛失と未交付の扱いを分けた図

精算の記録と、仕入税額控除の保存は別

社内に支払事情を説明する記録と、消費税の請求書等の保存要件は同じものではありません。 国税庁No.6496は、課税仕入れ等の税額控除について、原則として次の保存を求めています。

請求書等には、所定の要件を満たす適格請求書や適格簡易請求書、その内容を記録した電磁的記録などが含まれます。紛失したから自己作成のメモが自動的にその代わりになる、とは読めません。 帳簿だけで認められる特例も、それぞれの対象・条件のある制度です。

一方、会社から従業員へ支払う精算の承認は、この税額控除の説明だけでは決まりません。支払日・金額・相手方・目的・残っている資料の整理は、事実関係を説明するためのものであり、承認や税額控除を保証する書式ではありません。

資料の「90日」を暦の日数で確かめた

問24-5の90日は、質問した小売店のレジの再発行可能期間です。全国共通の法定期限ではありません。 その数字と日付の差を混同しないため、架空の購入日を2026-07-03に固定し、現行の日数計算を3条件で実行しました(n=3)。

確認日として置いた日 購入日からの暦日差
2026-09-30 89日
2026-10-01 90日
2026-10-02 91日

2026-10-01にローカルの計算処理を動かし、別の暦日計算でも全件一致しました。開始日を0日とする日付の差で、土日・祝日を除いていません。店が当日を含めるか、時刻で区切るか、何日まで扱うかは測っていないため、表から再発行の可否は判定していません。社内の精算締切を表した数でもありません。

同じ購入日から89日90日91日となる3条件の図

一次資料

本文で参照した一次資料の引用と出典をまとめます。

「改めて交付する義務が生じることはありません」

— 国税庁「適格請求書の交付に当たっての期間制限」問24-5、令和7年6月追加 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/24-5.pdf(2026-10-01 到達)

「交付義務が免除されることはありません」

— 国税庁「適格請求書の交付に当たっての期間制限」問24-5、令和7年6月追加 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/24-5.pdf(2026-10-01 到達)

「帳簿および事実を証する請求書等の両方」

— 国税庁 No.6496「仕入税額控除をするための帳簿および請求書等の保存」、令和8年4月1日現在法令等 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6496.htm(2026-10-01 到達)

測っていないこと・ここから先は推論

店への再発行依頼、会社への精算申請、実際の領収書の保存は行っていません。 個別の経費該当性、会社の承認、所得税・法人税の損金や必要経費、仕入税額控除の成否も未判定です。

次の1手

手元にない理由と、残っている取引記録を分けて整理することが入口です。購入日と確認日の差は計算できても、それだけでは再発行や経費精算の可否までは決まりません。

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