結論
受け取った適格請求書に誤りがあるときは、売手から修正版を受け取る方法と、買手が作成した仕入明細書等を売手が確認する方法があります。買手だけで書き足して完了する扱いとは異なります。
請求書訂正が必要な箇所を請求書の見本で照らす登録なしで使えます開く
ここでは、消費税の仕入税額控除に必要な書類の保存を前提に、受領後の対応を整理します。必要項目の一覧ではなく、誰が直し、誰の確認が残るかに焦点を当てます。2026年9月30日に国税庁の現行Q&Aを確認しました。
訂正の方法を二つに分ける
売手の訂正か、売手が確認した買手の書類かで、保存するものが変わります。下表は国税庁の問92を要約したもの。
| 受領後の方法 | 確認の関係 | 保存する書類 |
|---|---|---|
| 売手が修正版を交付 | 売手が正しい内容で作成 | 修正後の適格請求書等 |
| 買手が正しい仕入明細書等を作成 | 売手の確認を受ける | 確認を受けた仕入明細書等 |
| 買手が受領書類の誤りを補完 | 補完内容を売手が確認 | 訂正事項を明示した、適格請求書と仕入明細書等を兼ねる書類 |
3行目は2行目の方法の一つであり、確認不要の第三の方法ではありません。税額の誤りと軽減税率対象の表示漏れなど、訂正箇所が分かることが前提になります。
相手方確認の具体例も数えました。問86の1ページ目にある丸数字の列挙例を対象にすると、n=3例。うち、一定期間連絡がないことを確認と扱うものは1例で、基本契約等が条件として記載されていました。実際の取引3件を試した結果ではなく、2026年9月30日時点の公的本文の集計です。
一次資料で確認できたこと
修正版の受領、買手単独の訂正、相手方確認を別々の記載から確認しました。引用は短い原文抜粋。
「売手から修正インボイスの交付を受ける」
— 国税庁「インボイスの記載事項に誤りがあった場合の対応」① https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0024006-131.pdf(2026-09-30 到達)
この方法では、売手が作った修正後の書類を受け取ります。
「自ら追記や修正を行うことはできません。」
— 国税庁「インボイス制度に関するQ&A」問92、1ページ https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/92.pdf(2026-09-30 到達)
原文は原則を示し、その後に売手の確認を受ける場合を説明しています。受領書類への補完を一律禁止する、という意味には広げません。
「相手方の確認を受けたものに限られます」
— 国税庁「インボイス制度に関するQ&A」問86、1ページ https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/86.pdf(2026-09-30 到達)
メールによる確認の通知等も例示されています。連絡がないことを確認とする場合には、相手方との合意や認識の一致がある取扱いとして説明されており、一方的な送信とは区別されます。
不備を直したつもりになりやすい境界
数字が合ったことと、書類の確認が完了したことは別になります。
| 状態 | 区別する点 |
|---|---|
| 買手が計算して税額を書き換えた | 正しい数値でも、それだけでは売手確認を伴わない |
| 訂正案のメールを送った | 送信の事実と、確認の通知等の受領は異なる |
| 返信がないので了承と判断した | 合意した確認方法や期間の前提が必要 |
| 未登録の発行者に登録番号の追記を求める | 登録している売手の記載誤りとは別の問題 |
発行者が未登録の場合の経過措置や、控除額の計算はこの訂正方法の記事では扱いません。登録の有無と記載の不備を混ぜないためです。
テンプレートに架空入力を渡し、保存後の内容も確かめました。 2026年10月1日、やっとくんの「請求書」の現行生成処理で、訂正する項目を宛名と請求書番号に分けるための架空データをn=2件作りました。各件で対応する2欄を変更し、Excel(エクセル・XLSX)へ保存して別の読込み処理で照合すると、計4欄すべてが指定した値と一致しました。元の配布物を上書きせず、生成と文字・セル値の保存だけを測った結果です。印刷、送信・提出、受理、法令上の適否は検証していません。
測っていないこと・ここから先は推論
訂正に要する日数、売手の回答率、実際の税務判断は測っていません。公的な確認方法の列挙を数えただけで、個別の書類が要件を満たすという判定は行っていません。電子帳簿保存法の保存要件や、免税事業者等からの仕入れの経過措置も検証対象外。
次の1手
整理の起点は、誤っている項目・正しい内容・確認を受けた書類の三つ。請求書の見本は、どの欄を直す話なのかを言葉にする補助になります。