結論:毎月払いの給与でも、常に半分とは限らない
4つの仮定額で比べると、税金等を除いた月給70万円の例では、養育費等の差押えの計算上限は37万円になりました。手取りの半分35万円ではなく、差押禁止額の33万円を除いた金額です。
この上限は、養育費の月額や実際に回収できる金額ではありません。請求する債権、未払額、命令の内容などの条件が別にあります。本稿は毎月払いの給与の差押禁止範囲を計算する部分に絞り、個別の請求や申立ての可否は判断しません。
給与差押計算毎月払いの給与で、保護される額と計算上限を分ける登録なしで使えます開く
判定:控除後の月額4例で計算を比べる
n=4の仮定の月額を、現行の給与差押計算へ入力しました。2026年10月1日に毎月払いを選び、養育費等と一般債権の2区分、計8通りを実行しました。金額は、この計算の基礎となる税金等を除いた額と仮定しています。
| 仮定の控除後月額 | 養育費等:保護される額 | 養育費等:差押えの計算上限 | 一般債権:差押えの計算上限 |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 10万円 | 10万円 | 5万円 |
| 30万円 | 15万円 | 15万円 | 7万5千円 |
| 66万円 | 33万円 | 33万円 | 33万円 |
| 70万円 | 33万円 | 37万円 | 37万円 |
養育費等の区分では、月額の2分の1と33万円を比べ、小さい方がこの計算の差押禁止額です。元の額からそれを引いたものを、表の計算上限としています。別のPython処理では、66万円以下と超える場合に分ける式で検算し、8通りすべての結果が一致しました。
一般債権の区分は、月額の4分の3と33万円を比べます。「養育費等なら一般債権の上限が常に2倍」という比較にはなりません。66万円・70万円の2例では同じ額になっています。
一次資料:2分の1という割合と、月額の上限を併せて読む
裁判所の現行案内は、給与から税金等を除いた額を基礎にしています。養育費に基づく差押えの説明には、次の記載があります。
債務者の給与から税金等を除いた手取額の2分の1
— 裁判所「養育費に基づく差押え」3 差押え https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_09/minzi_26_01/index.html(2026-10-01 到達)
同じ文は、月給のその額が66万円を超える場合には、33万円を除いた金額が上限となることも示しています。「2分の1」だけを抜き出すと、高い月額の条件が抜けます。
民事執行法152条3項は、同項の対象となる金銭債権について、次の読み替えを定めています。
前二項中「四分の三」とあるのは、「二分の一」とする。
— e-Gov法令検索「民事執行法」152条3項 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/354AC0000000004(2026-10-01 到達)
政令で定める額は、支払期の区分ごとに確認するものです。毎月払いについては、次の区分があります。
支払期が毎月と定められている場合 三十三万円
— e-Gov法令検索「民事執行法施行令」2条1項1号 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/355CO0000000230(2026-10-01 到達)
本稿ではこの毎月払いの区分だけを表にしました。週払い・日払い・退職金などへ、表の33万円をそのまま当てはめる比較ではありません。
間違えやすい点:保護額と、受け取れる養育費は別
計算に使った月額、差押禁止額、差押えの上限、養育費の支払額を分ける必要があります。
| 取り違え | 分けて読む点 |
|---|---|
| 額面の月給をそのまま半分にする | この表は税金等を除いた計算基礎額を仮定 |
| 差押禁止額33万円が回収できる額 | 33万円は保護する側の額。70万円なら計算上限は37万円 |
| 上限37万円なら養育費も毎月37万円になる | 請求債権や命令の範囲は別 |
| 計算結果が出たので同額を受け取れる | 勤務先の債務、競合・供託などの状況も別 |
民事執行法153条には、生活の状況などを考慮した差押禁止範囲の変更の仕組みもあります。今回の固定条件の式から、裁判所が個別に決めた範囲まで再現できるわけではありません。税金の滞納処分も、この民事執行の表で計算していません。
測っていないこと・ここから先は推論
養育費の取決め、請求権の根拠、実際の未払額、申立て・差押命令・回収は調べていません。将来分や先取特権の適用、2026年の制度改正で個別に利用できる手続きの判断も対象外です。
n=4は架空の金額で、支払や裁判の成功例4件ではありません。実際に控除される項目の適否、競合する差押え、供託、裁判所による範囲変更、債務者の財産や勤務状況は確認していません。
次の1手:金額の役割を分けて確認する
次の1手は、給与差押計算で毎月払い・養育費等の区分を選び、保護額と計算上限を見比べることです。得られるのは指定した前提の計算であり、請求できる養育費や実際の回収額の確定ではありません。