結論
最初に区別するのは4つの金額欄です。「支払金額」は給与の支払総額を読む欄、「給与所得控除後の金額」と「所得控除の額の合計額」は税の計算に使う欄、「源泉徴収税額」は税額です。手取り額という欄ではありません。令和8年分の国税庁の記載要領に沿って、欄の役割を整理します。数字が空欄なら、まず年末調整の有無との関係を見ることになります。
給与明細書支給・控除・差引の欄を見比べる登録なしで使えます開く
判定:知りたい金額と欄名を対応させる
年収・所得・振込額は、同じ数字とは限りません。次の表は、給与所得の源泉徴収票の読み分けです。
| 知りたいこと | 対応する欄・資料 | 読む際の境界 |
|---|---|---|
| その年の給与収入の総額 | 支払金額 | 年中に支払が確定した給与等。前職分を通算して年末調整した場合は、その分も含む |
| 給与所得の金額 | 給与所得控除後の金額(調整控除後) | 給与の振込額ではない。所得金額調整控除の適用があれば控除後の額 |
| 所得から差し引いた控除の合計 | 所得控除の額の合計額 | 社会保険料控除や基礎控除などの合計。給与天引きの合計ではない |
| 給与に係る源泉所得税等 | 源泉徴収税額 | 年末調整済みなら精算後の所得税・復興特別所得税の合計 |
欄の実測:4欄中2欄に、年末調整をした人だけの表示がありました。2026年9月30日、国税庁「令和8年分 法定調書の作成と提出の手引」冊子5ページの④〜⑦を1欄ずつ数えました(n=4欄)。⑤と⑥に「年末調整をした受給者のみ」の表示があり、④と⑦にはありません。これは公式の欄説明を数えた結果で、空欄の源泉徴収票を4人分調査した数字ではありません。
「社会保険料等の金額」が2段になっている場合、内書きは合計に含まれる内訳です。手引7ページでは、小規模企業共済等掛金の額を内書きする扱いです。上下を足すと、その分を二重に数えることになります。
一次資料:原文のどこで区別できるか
✅ 令和8年分の公的な記載要領の本文に到達しています。引用は、長い説明のうち判定に必要な部分だけです。
「令和8年中に支払の確定した給与等」
— 国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」第2章、冊子5ページ④ https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/tebiki2026/PDF/02.pdf(2026-09-30 到達)
「年末調整をした受給者のみ」
— 同手引、冊子5ページ⑤・⑥の欄表示 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/tebiki2026/PDF/02.pdf(2026-09-30 到達)
「個人番号は記載しません。」
— 国税庁「令和8年分年末調整のしかた」給与所得の源泉徴収票・給与支払報告書の作成、受給者交付用の注意事項 https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index/shikata.htm(2026-09-30 到達)
本人用と税務署提出用を混同しないことも必要です。本人が受け取る票にマイナンバーが載っていないこと自体は、記載漏れを意味しません。
間違えやすい点
差し引く対象を取り違えると、存在しない「手取り」を作ってしまいます。
| 読み違い | この資料で言えること |
|---|---|
| 支払金額がそのまま銀行への振込総額 | 給与収入の総額と振込総額は別。実際の支給・控除は給与明細などで区別する |
| 支払金額から所得控除合計を引けば手取り | 所得控除は税計算上の控除。現金の天引き額の合計ではない |
| 内書きの額を外側の合計に足す | 内書きは合計に含まれる部分 |
| 年末調整関係の欄が空なら収入ゼロ | 空欄とゼロは別。年末調整の有無によって記載対象が変わる |
給与明細のPDFで支給と差引の欄を分けた
給与明細書の入力用PDF1件(n=1)に、項目名と金額の6欄を入力し、保存後も6欄すべてが一致しました。 2026-10-01、当サイトの配布用PDFのコピーへ、架空の支給合計300,000円・控除合計50,000円・差引支給額250,000円を別々の欄に入力しました。保存値を読み直し、画像でも金額が別の行に表示されることを確認しました。
ここで入力したのは給与明細の比較用の数字で、源泉徴収票の支払金額や税額を計算したものではありません。PDFの自動計算を試したのではなく、合計と差引を分けて保存できるかの測定です。
測っていないこと・ここから先は推論
各社が交付した票や実際の振込額は調べていません。今回数えたのは公的手引の4欄だけです。個人の税額の正否、申告の要否、ふるさと納税の上限を計算したものではありません。図は欄の関係を説明する自作図で、法定様式や入力画面の複製ではありません。
令和8年分の控除額の再計算も範囲外です。税額の式を古い年分から写すことはせず、この記事では欄の役割に限っています。
次の1手
手取りとの違いを見る次の資料は、給与明細の欄です。給与明細書テンプレートの見本で、支給・控除・差引が別々に置かれる形を確認できます。見本の数字は個人の給与や税額を判定する値ではありません。