結論

転職後の勤務先で前職分を通算して年末調整をした場合、源泉徴収票の支払金額には前職の給与も含まれます。摘要に前職の金額があっても、それを支払金額へもう一度足すと二重になります。

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ただし、転職した人の票がすべて合算済みとは限りません。ここでは受け取った票の読み方を扱います。勤務先が行う年末調整の計算や源泉徴収簿の作成方法は対象にしません。

通算済みの支払金額に前職分を再加算しない図

支払金額と摘要の役割を分ける

総額の欄と、前職情報の説明欄は役割が違います。 次の表は前職分を通算して年末調整した場合の整理です。

票の場所 読み取ること 避けたい読み違い
支払金額 前職分を含む、その年の給与等の総額 今の勤務先だけの給与と思う
摘要の前職情報 前の支払者や退職日、通算した金額 摘要の給与を総額へ再加算する
前職の源泉徴収票 通算の確認に使われる前職側の情報 転職後の票と単純に足せば年額になると思う

2026年9月30日、国税庁の令和8年版手引の摘要㉚(6)を調べました。列挙された情報は(イ)支払者、(ロ)退職日、(ハ)金額のn=3区分。(ハ)の中に給与等・源泉所得税等・社会保険料の3種類の金額がありました。これは公的説明を数えた結果で、実際に受領した票の調査ではありません。

架空例として、前職120万円、現職280万円を通算した支払金額は400万円。摘要に120万円が記載されても、400万円+120万円ではありません。この例は給与の範囲を示す足し算であり、手取り・所得・税額を計算したものではありません。

摘要に示す前職情報の三つの区分

一次資料: 国税庁が示す通算と確認の条件

通算した場合の記載と、通算できるかの確認を分けます。 令和8年版の記載要領と一般案内を照合しました。

「その給与等の金額を含みます。」

— 国税庁「令和8年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」④支払金額、中途就職者の括弧書き https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hotei/tebiki2026/PDF/02.pdf(2026-09-30 到達)

この括弧書きは、前の支払者の給与等を通算して年末調整した場合の、その給与等を指しています。同手引の摘要㉚(6)が前職情報の記載を説明しています。

「それらの給与を含めて年末調整」

— 国税庁 No.2674「中途就職者の年末調整」手続き https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2674.htm(2026-09-30 到達)

令和8年4月1日現在の案内は、前の勤務先へ扶養控除等申告書を提出して受けた給与を対象に説明しています。別の勤務先から受けた給与なら何でも通算する、という意味ではありません。

「年末調整を行うことはできず」

— 国税庁 No.2674、前職の給与・税・社会保険料を確認できない場合 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2674.htm(2026-09-30 到達)

同案内は源泉徴収票などで確認することと、確認できない場合は本人の確定申告によって所得税等を精算する取扱いを示します。「手元に紙がない」だけで個別の申告要否を決める説明ではありません。

摘要だけで決めつけやすいこと

一つの欄の有無だけで結論を出さないことが、読み違いを減らします。

見えた状態 そこからは確定しないこと
摘要に前職名がある その票が誤りなく作成されているか
摘要に前職名が見当たらない 合算の有無や、会社側での確認状況
支払金額が現職の給与より多い 差額のすべてが前職分か
前職票と現職票の2枚がある 2枚の支払金額を足してよいか

摘要の記載と給与明細などの内訳が合わないときは、合算した前提が未確認の状態として整理できます。

関連する給与明細のPDFへ別の金額を入力した

給与明細書の入力用PDF1件(n=1)で、支給・控除・差引の項目名と金額6欄が保存後も一致しました。 2026-10-01、当サイトの配布用PDFのコピーへ、架空の支給合計400,000円・控除合計60,000円・差引支給額340,000円を入力しました。保存したファイルの値と、描画した各行の表示を確認しました。

これは給与明細の別々の欄へ入力する試験です。前職分の通算や年末調整をツールが判定した結果ではなく、源泉徴収票へこれらの額を転記できるという意味でもありません。

測っていないこと・ここから先は推論

実際の転職者の票、勤務先の照合手順、合算漏れの発生率は調べていません。確定申告の要否・税額、前職への再発行依頼、提出期限や会社の社内締切も検証していません。架空例に賞与や未払給与などの条件は含めていません。

次の1手

受け取った票を読む起点は、支払金額がどの勤務先の給与を含むか。給与明細の支給額と控除額を分けた見本は、手取りと支払金額を混同しないためにも使えます。

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