結論
法定三帳簿は、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿等をまとめて呼ぶ通称です。人の情報、働いた時間、賃金の計算と支払という、異なる記録をつなげて考えると役割が分かります。
労働者名簿人・時間・賃金の記録を分ける登録なしで使えます開く
三つの表を空欄なく用意しただけで、あらゆる労務記録がそろうわけではありません。出勤簿という表題の特定様式が法律で一律に指定されている、という意味でもありません。タイムカード等の実際の労働時間記録も関係します。
三つの記録は何を受け持つか
労働者名簿の一人と、時間・賃金の記録の一人が対応していることが出発点です。労働基準法第107条・第108条では、労働者名簿と賃金台帳を各事業場で調製する義務を定めています。名簿は日々雇い入れられる者を除くという条文上の扱いもあります。
| 記録 | 主に表すもの | 別の記録との接点 |
|---|---|---|
| 労働者名簿 | 本人の情報、雇入れ・退職など | 誰についての時間・賃金か |
| 出勤簿等 | 日ごとの勤務、始業・終業など | 賃金計算期間に対応する時間 |
| 賃金台帳 | 計算期間、労働日数・時間、賃金等 | どの期間の記録から計算したか |
賃金台帳については、記入時期も定められています。
銀行へ振り込んだ金額だけでは、計算の基礎まで記録したことになりません。また、名簿を入社時に作った後も、法定記載事項に変更があれば訂正する扱いです。
保存期間は何の日から数えるか
保存年数と、数え始める日を分けると混乱が減ります。 労基法第109条の本文は5年ですが、第143条第1項に経過措置があります。
この規定により、2026-09-30に確認した保存義務の期間は原則5年・経過措置で当分3年です。「すべて入社日から3年」と数える仕組みではありません。施行規則第56条では、名簿は死亡・退職・解雇の日、賃金台帳は一次資料の節に引用した時点を起算日としています。
賃金その他の重要書類は完結の日が基本です。ただし、賃金台帳等では対応する賃金の支払期日がそれより遅ければ、その支払期日が起点になります。同条第2項まで含めた確認が必要です。
保存義務の期間を過ぎたことだけで、書類が不要とも断定できません。厚労省の保存期間Q&Aも、3年を経過した後に記録が必要な場合を説明しています(2026-09-30 到達)。
出勤簿15日分を集計した結果
当サイトの見本に入っている半月分15行(n=15)を数え、時刻表記を分へ換算して合計しました。 対象は2026年8月1〜15日の出勤簿の単一ソース、測定日は2026-09-30です。
| 測った項目 | 結果 |
|---|---|
| 出勤と記録された日 | 9日 |
| 有給と記録された日 | 1日 |
| 公休と記録された日 | 5日 |
| 実働欄の合計 | 73時間30分 |
| 残業欄の合計 | 3時間30分 |
15行は記録日数で、出勤15日という意味ではありません。空の実働欄は合計へ加えず、実働のある9行だけを足しました。残業欄は実働の外へさらに足していません。この集計は見本の数値で、実在する従業員の勤務実績ではありません。
賃金台帳見本の先頭行は4月1〜30日の計算期間です。8月前半の出勤簿を、その4月分へ転記する関係にはありません。二つの見本が存在することと、同じ人・同じ期間の整合が取れていることは別です。
一次資料
本文で参照した一次資料の引用と出典をまとめます。
「賃金支払の都度遅滞なく」
— e-Gov「労働基準法」第108条 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC0000000049(2026-09-30 到達)
「当分の間」
— e-Gov「労働基準法」第143条第1項 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322AC0000000049(2026-09-30 到達)
「最後の記入をした日」
— e-Gov「労働基準法施行規則」第56条第1項第2号 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322M40000100023(2026-09-30 到達)
測っていないこと・ここから先は推論
賃金額、割増賃金の適否、打刻の正確さ、保存システムは検証していません。 集計したのは見本の入力値です。有休の日の賃金や、所定時間・法定時間の判定は含みません。労務上必要な書類全体の網羅性や、各社の保存終了日も判定していません。
次の1手
帳簿名の一覧に加え、対象者と対象期間がどこでつながるかを見ると、記録の不足が具体的になります。 労働者名簿・出勤簿・賃金台帳の見本は、それぞれの役割を比べる材料です。