結論
労働条件通知書から扶養認定の年間収入を読むときは、時給だけでなく手当・賞与の金額と支給単位も関係します。 2026年4月からの取扱いは、通知書に「扶養内」と書けば足りる仕組みではありません。適用する条件と、金額の算術は別の確認です。
労働条件通知書契約期間・時間・賃金の見本と必要な情報を比べる登録なしで使えます開く
ここでは厚生労働省と日本年金機構の案内を確認し、ジェイティ健康保険組合が公開する1つの記入例の4内訳を再計算します。保険者の例を全国共通の様式や、誰でも扶養に入れる働き方として紹介するものではありません。
2026年4月以降の認定日と対象条件
取扱いの適用日は、通知書の作成日だけでは決まりません。 厚労省の2026年3月9日付Q&A第2版は、問10で適用の基準を示しています。
令和8年4月1日より前へ遡る認定は従来の取扱いです。日本年金機構の2026年5月1日更新の案内では、契約上の賃金から見込まれる年間収入が基準未満で、他の収入が見込まれないことに加え、同居・別居に応じた生計維持の条件も示されています。
一般の130万円未満という額だけが全条件ではありません。60歳以上等の180万円未満、19歳以上23歳未満の配偶者以外の人の150万円未満という区分もあります。税の扶養控除や、本人が勤務先の社会保険に加入する条件の判定とは区別して扱います。
時間・金額が分からなければ、年額も決まらない
「シフト制」「通勤手当あり」だけでは、年間収入を計算できない場合があります。 日本年金機構は、契約期間が認定の起算日から1年未満の場合、勤務時間や手当額が不明確な場合を、この方法で認定できない例として挙げています。
同じ案内の賃金の説明には、一次資料の節に引用した注意があります。
時給×時間だけの値と、手当・賞与を含む収入見込みは同じではありません。 通知書等と「給与収入のみである」旨の申立てなど、必要書類の案内もあります。勤務先が作る通知書1枚で全ての手続きが完結する、という説明ではありません。
厚労省Q&A第2版は、契約段階で見込み難い時間外労働の賃金等を別に扱います。一方、契約上の賃金や時間を不当に低く記載してよいという意味ではありません。 臨時収入の妥当性や認定の適否は、この記事の計算では判断していません。
保険者の公開例4内訳を年額へそろえて検算した
実測はジェイティ健保の「給与支払見込証明書」2ページにある4内訳です(n=4)。 2026-10-01に公式の申請書一覧から配布先を確認し、原本を描画しました。同組合の2026年4月からの案内では、契約内容から算出する収入見込みをこの証明書へ記す方法が示されています(2026-10-01到達)。
原本の計算欄は、合計を一次資料の節の引用のとおり表示しています。
| 内訳 | 原本の条件・単位 | 年額の再計算 |
|---|---|---|
| 給与 | 時給1,250円、1日5時間、週3日、原本指定の52週 | 975,000円 |
| 交通費 | 6か月分30,000円を年2回 | 60,000円 |
| その他手当 | 月5,000円を12か月 | 60,000円 |
| 賞与 | 年2回、2回分の合計50,000円 | 50,000円 |
| 合計 | 4内訳の年額を加算 | 1,145,000円 |
給与は1,250×5×3=週18,750円、さらに52を掛けて975,000円です。4内訳の合計1,145,000円は、原本の契約欄と算出式の両方に一致しました。PythonとJavaScriptによる別計算でも一致しています。給与だけの975,000円との差170,000円は、交通費・その他手当・賞与の合計です。
賞与の50,000円は1回分ではなく、年2回分の合計なので、さらに2倍していません。交通費の30,000円は6か月分、その他手当の5,000円は1か月分で、同じ回数を掛ける額でもありません。
52週はこの原本が指定する計算条件であり、すべての契約の実支給日数を測った値ではありません。例の時給や勤務時間を推奨値にせず、保険者の認定結果にも置き換えていません。 書式内の日付や氏名も架空の例として扱っています。
一次資料
本文で参照した一次資料の引用と出典をまとめます。
「認定日が4月1日以降となるもの」
— 厚生労働省、労働契約内容による年間収入の取扱いQ&A第2版、6ページ問10 https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T260310S0010.pdf(2026-10-01 到達)
「諸手当および賞与も含まれます。」
— 日本年金機構「労働契約内容による年間収入での被扶養者の認定の取り扱いについて」、概要の※1 https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/jigyosho/2026/202605/0501.html(2026-10-01 到達)
「年間収入額(①~④合計)」
— ジェイティ健康保険組合「給与支払見込証明書」、2ページの記述例の算出式 https://www.jtkenpo.jp/UploadedFiles/application/family01.pdf(2026-10-01 到達)
測っていないこと・ここから先は推論
個人の扶養認定、本人の社会保険加入、税の控除、実際の将来収入は判定していません。 複数の勤務先、年金等の別収入、契約変更後の取扱い、臨時収入の妥当性も計算対象外です。例の時給の最低賃金への適合や、全保険者の必要書類・審査基準も確認していません。
次の1手
契約期間、時間・日数、各賃金の単位、年間合計と認定条件を分けるのが整理の入口です。通知書の見本で記載場所を比べても、個人の扶養判定まで完了したことにはなりません。