結論
有給休暇の基準日統一は、管理簿の日付を年度初めに書き換えるだけではありません。 年休を付与する日と、年5日の取得を管理する期間がつながっています。前倒し付与で、初年度と翌年度の管理期間が重なることもあります。
有給休暇管理簿付与日と取得日数を別に記録する見本登録なしで使えます開く
この記事は、厚労省の公的な日付例を読み直すものです。基準日を全員同じ日にする義務や、会社ごとの変更方法を示すものではありません。 年5日の取得義務は、法定の年休付与日数が10日以上となる人が対象です。
基準日をそろえる場合の前倒し条件
法定の付与日を後ろへ遅らせる整理ではありません。 厚労省のQ&Aは、統一する日と元の基準日が違う人について、一次資料の節の引用のとおり説明しています。
同じ回答には、出勤率8割の算定では短縮した期間を全期間出勤とみなすこと、翌年度以降も初年度に繰り上げた期間と同じかそれ以上、法定の基準日から繰り上げることが示されています。今年だけ早く付与し、翌年は元の日に戻すという説明ではありません。
付与日と実際に休んだ日は別です。また、本人が請求して取得した日や計画年休は、使用者の時季指定が必要な5日から控除されます。付与の記録と取得の記録を混ぜると、対象期間も取得済み日数も追いにくくなります。
月初にそろえた公的例を4件検算
厚労省の解説には、全社一律の日ではなく月初にまとめる例もあります。
2026年10月1日、原本図の入社例4件(n=4)を目視で読み取り、元の付与日と月初の日付差を計算しました。以下の2019年・2020年は資料にある例の年です。今年の日付に置き換えていません。各例は10日付与の想定です。
| 入社日 | 法定どおりの付与日 | 月初へ前倒しした付与日 | 前倒しの日数 |
|---|---|---|---|
| 2019/4/10 | 2019/10/10 | 2019/10/1 | 9日 |
| 2019/4/20 | 2019/10/20 | 2019/10/1 | 19日 |
| 2019/5/15 | 2019/11/15 | 2019/11/1 | 14日 |
| 2019/5/25 | 2019/11/25 | 2019/11/1 | 24日 |
日付差と同じ月内の日の差で検算し、4件とも一致しました。資料の年5日取得の期限は、元の例では4種類、月初へまとめた例では2020/9/30・2020/10/31の2種類です。翌年の同じ日から1日引く計算とも一致しました。
この例がまとめているのは同じ月に入社した人の基準日です。 4人全員の期限が1日にそろう例ではなく、9月末と10月末の2群になります。
翌年の付与を早めると管理期間が重なる
二つの1年間を、そのまま24か月として足す場面ではありません。 労働基準法施行規則24条の5第2項には、10日以上の付与後、1年以内の第二基準日に新たに10日以上を付与する場合の特例があります。
前掲の解説9頁は、2019/10/1に10日、次の2020/4/1に11日を付与する例です。取得管理の期間は①2019/10/1〜2020/9/30、②2020/4/1〜2021/3/31になります。
この2期間(n=2)の暦月を列挙して重なりを検算すると、それぞれ12か月、重複6か月、最初から最後まで18か月でした。特例の式では18÷12×5=7.5日。これはこの例の期間を通じた取得日数であり、年休そのものの付与日数を7.5日に減らす数ではありません。
原本の注記は、本人が半日取得を希望し、使用者が応じた場合は7.5日以上、それ以外は8日以上としています。特例を使わず、①②それぞれで5日の取得を管理する説明も併記されています。重複期間があれば一律に7.5日になるわけではありません。
一次資料
本文で参照した一次資料の引用と出典をまとめます。
「法定の基準日以前に前倒しして付与」
— 厚生労働省「スタートアップ労働条件」年次有給休暇Q10 https://www.startup-roudou.mhlw.go.jp/qa/zigyonushi/yukyu/q10.html(2026-10-01 到達)
「基準日を月初などに統一」
— 厚生労働省「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」2023年2月版、11頁 https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001138970.pdf(2026-10-01 到達)
「月数を十二で除した数に五を乗じた日数」
— 労働基準法施行規則24条の5第2項、e-Gov法令本文 https://laws.e-gov.go.jp/api/1/lawdata/322M40000100023(2026-10-01 到達)
測っていないこと・ここから先は推論
個別の会社の基準日変更や就業規則の適法性は判定していません。 出勤率、比例付与、一部ずつの分割付与、半日取得への同意、実際の取得日数も未測定です。公的な例の日付を検算した結果を、そのまま会社の導入条件にはできません。
管理簿の見本は、基準日統一の手続きや期間按分を自動判定するものとして紹介していません。 現行版は個人別の取得明細で、半日は0.5日を入力し、取得日数の累計と残日数を式で求める形です。2026-10-04にExcel(エクセル)の記入例5件を読み、取得日数1・0.5・2・1・0.5日の合計5日、繰越5日と当年付与20日の合計から引いた残20日を別計算しました。累計・残数の式の参照先も確認しましたが、期間按分や法的な取得義務の判定は行っていません。
次の1手
付与日と、年5日取得を数える期間を別に読むことが入口です。 有給休暇管理簿の見本では付与日・取得日数・取得時季を見比べられます。実際の管理期間は、元の基準日と前倒し後の日付によって異なります。