結論:雇用状況・支払の意思・他の差押えを分ける

給与差押えの第三債務者用陳述書では、雇用状況と給与等、債権者への支払の意思、他の差押えの有無が別々の確認事項です。東京・金沢の公開様式2種類を比べると、いずれにもこの三つの設問群がありました。

給与差押計算陳述する事実と差押範囲の計算を区別する登録なしで使えます開く

「陳述書」という題名だけでは、裁判で事情を説明する文書などとも混ざります。この記事で読むのは給与債権の差押えに関する様式です。特定の事件でどの回答を選ぶべきか、支払先や金額を決めるものではありません。

給与差押えの陳述書にある三つの設問群の関係を示す図

読み分け方:退職済みかどうかだけで終わらない

二つの様式とも、雇用の経験がない場合・現在雇用している場合・過去に雇用していた場合を分けています。金沢の様式は役員である場合も明記しています。

確認対象 公開様式で区別されている内容
雇用状況等 経験なし、現在、過去
現在の給与等 給与・賞与などの額とその表記条件
過去の雇用 退職日だけでなく、その後支払う給与等の有無
支払の意思 支払う・支払わない、後者の理由欄
他の差押え 有無と、ある場合の事件・送達日等

「退職済み」と「これから支払う給与等がない」は同じ回答ではありません。公開様式は過去の雇用を選んだ後に、支払う給与等があるかをさらに分けています。これは欄の構造の説明で、退職した特定の人の債権が差押対象になるかを判定したものではありません。

一次資料:何を陳述するかと、取立ての手続は別

裁判所の手続説明は、陳述催告を次のように説明しています。

「差押債権の有無などにつき回答を求める申立て」

— 裁判所「債権執行(債務名義に基づく差押え)」手続の流れ1 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_25_08/index.html(2026-10-01 到達)

同ページでは、差押えの効力と取立てを別段階として説明しています。陳述書で支払の意思を示すことと、その場ですぐ送金できることは同一ではありません。取立ての時期や供託などの条件は、今回の欄の比較では計算していません。

「これから支払期の到来する給料等が」

— 東京地方裁判所、第三債務者用給与債権資料、PDF7ページの陳述書第1項(画像原本から抜粋) https://www.courts.go.jp/tokyo/vc-files/tokyo/2_daisansaimusya_kyuryou.pdf(2026-10-01 到達)

この後に、ない・あるの分岐が続きます。過去の雇用を選んだ後にも金額の確認欄が残ることが、図から読み取れます。

「又は同人は御社の役員ですか。」

— 金沢地方裁判所「陳述書」第1項 https://www.courts.go.jp/kanazawa/vc-files/kanazawa/2024/saiken/2404kdc14.pdf(2026-10-01 到達)

同様式には役員報酬等の欄もあります。似た陳述書でも、項目の表現や金額欄が完全に同じとは限りません。

実測:二つの公開様式の設問を対応付けた

n=2種類の様式を、2026年10月1日に原本の画像と本文で確認しました。東京のPDFは説明資料と重複した用紙を含む9ページですが、今回数えたのは7ページの陳述書と8ページの別表の一組です。金沢は1ページの陳述書です。同じ用紙の重複を別種類として数えていません。

数えたもの 東京の対象用紙 金沢の対象用紙
番号付きの主項目 4項目 3項目
うち雇用等・支払・競合の設問群 3群 3群
雇用の経過を分ける最初の枝 3枝 3枝
過去の雇用の後にある給与等の有無 2枝 2枝

東京は「その他」に4の番号が付き、金沢は番号外に陳述欄があります。4項目対3項目という数だけで、金沢には自由記載欄がないとは読めません。対応付けた三群は本記事の整理で、法令が定める全国共通の項目数という意味ではありません。

東京のPDFは文字を抽出できなかったため画像から転記し、金沢は抽出本文を画像でも確認しました。数えたのは公開用紙の構成であり、提出された事件数や会社数ではありません。

二つの様式の番号と、共通の設問群を比較した図

計算条件を変えても陳述の事実は埋まらない

給与差押計算を2条件(n=2)で動かすと、計算上限は75,000円と150,000円でした。 2026-10-01、計算基礎となる控除後の額を300,000円、毎月払いと仮定し、一般債権と扶養義務等の区分を当サイトの計算関数へ入力しました。保護額はそれぞれ225,000円と150,000円でした。

これは区分を仮定した金額の出力比較で、実際の陳述書へ転記する金額を決めたものではありません。計算結果から在籍の事実、他の差押え、支払の意思は分かりません。

測っていないこと・ここから先は推論

実際の差押命令、従業員の在籍・給与、他の債権者の請求、陳述書の提出や裁判所の受理は測っていません。給与の総支給額をそのまま欄へ転記できるか、どの金額まで支払えるかも判定していません。

提出期限、宛先、部数、送達日を基にした取立可能日、競合時の供託などは、事件や同封の案内に関係する別の事項です。公開様式の比較を、特定の事件の記入済み見本や回答の代わりにはしていません。

次の1手:回答する事実と計算する金額を分ける

雇用状況・給与等・他の差押えを別々に整理すると、どの欄の話かを対応付けられます。給与差押計算は金額の条件を整理する関連の道具で、陳述書の回答や取立て・支払の可否を判定する機能ではありません。

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