配ったQRコードが読み取れない時、原因の多くは読む人のスマホではなく作り方の側にあります。確かめるのは、余白・明暗差・角の欠け・重なり・大きさの5つです。同じQRを条件だけ変えて作り、読み取りの部品(jsQR)で確かめたところ、濃い地や柄の上に余白なしで置くと9件中7件が読めず、白い余白を1マス足すと9件とも読めました。

ただし、ここに出す数字はすべて画面の上で読み取った結果です。紙に刷ってスマホのカメラで読む確認はしていません。読む側(スマホの構え方・設定)で試すことは、QRコードが読み取れない時に読む側で試すことにまとめました。

やっとくんで作れる見本「用途ポップ(丸シール)」丸シールの見本。QRは円の内側に収め、角と余白を残してある見本を選んで、内容や色を変えられますこのQRを作る

読み取れない原因は5つ。上から順に確かめる

手元のQRコードを、この表の上から順に見てください。上ほど見落としやすく、直すのも簡単です。「測った結果」の列は、同じ内容のQRを条件だけ変えて作り、画面上で読み取った件数です。

原因 見分け方 直し方 測った結果(画面上)
1 余白がない QRの外側に、何も描かれていない帯が一周あるか QRの周りに白い帯を足す。枠や文字はその外に置く 濃い地・柄・文字の上で余白なし: 9件中2件だけ読めた。余白1・2・4マス: 27件中27件
2 明暗差が小さい 点の色が薄い、または背景が濃い 点を濃く、背景を白く戻す 白地に灰色の点。明暗差4.4以上: 39件中39件。2.1〜3.8: 条件で割れた。1.9以下: 15件中0件
3 角が欠けている 3つの角の四角が、全部欠けずに見えるか 丸く切らない。円の内側にQRを縮めて置く 円の直径がQR本体の1.2倍以下: 18件中0件。1.41倍以上: 24件中24件
4 絵や文字が重なっている 中央にロゴ・文字・シールが乗っていないか 重ねる物を小さくする。強さ(誤り訂正)を上げる 強さM: 中央の10%まで読めた、15%以上は0件。強さH: 25%以上は0件
5 小さすぎる 1マス(点1つ分)が小さすぎないか 大きく刷る。入れるURLを短くする 同じ幅なら、21文字のURLは52px、123文字のURLは78px必要だった

表の「測った結果」は、1と2と3の一部で「ぼかし+明るさの揺れ」を足した模擬でも読み取りました。模擬はカメラの再現ではなく、境目がどちらに動くかを見るためのものです。細かい条件は下の節と「測っていないこと」に書きます。

余白と色:QRの周りと、点の濃さを見る

余白は「白い紙そのもの」でもよい。問題は濃い地・柄・文字の上

余白は、QRの角の四角を見つけるために読み取り側が使う場所です。削ると、角の四角と周りの模様の境目が分からなくなります。

濃い灰色の地に置いたQRコード2枚。左は周りに白い余白が4マスあり読めた。右は余白がなく、QRの黒い点が濃い地に直接接していて読めなかった

測り方: 内容の長さが違うQR3種類(版2・3・5)を、6種類の地(白・薄い灰色・中間の灰色・濃い灰色・細かい柄・文字の並び)の上に、余白0・1・2・4マスで置きました(72件)。

  • 濃い灰色・細かい柄・文字の並びの上で余白0マスは、9件中2件しか読めませんでした(読めた2件は文字の並びの上。模擬では9件とも読めず)
  • 同じ3種類の地でも、余白が1マスあれば27件すべて読めました(模擬も27件)
  • 白・薄い灰色・中間の灰色の上では、余白0マスでも9件とも読めました。地そのものが明るければ、それが余白の代わりになるということです

画面の上では1マスで足りましたが、紙に刷ってカメラで読む時の余裕は測っていません。配る物は、QRコードの開発元が示す4マスを守るのが安全です(下の一次資料の節)。

色は「何色か」ではなく「明暗差」で決まる

今回の読み取りの部品(jsQR)は、画像を明るさだけに直してから読みます。赤と緑のように色が違っても、明るさが近ければ区別されません。ここでいう明暗差は、白と点の色の明るさの比(1〜21。白と黒で21)です。

白地に灰色の点で作ったQRコード5枚。明暗差21.0と4.4は2つの条件とも読めた。2.6は条件で結果が割れた。1.9と1.4は2つの条件とも読めなかった

測り方: 白地に、黒から薄い灰色まで24段階の点でQR3種類を作りました(72件)。そのまま読んだ時と、模擬(ぼかし+明るさの揺れ)を足した時の2条件です。

明暗差 そのまま 模擬
4.4以上(13段階) 39件中39件 39件中39件
2.1〜3.8(6段階) 18件中0件 18件中17件
1.9以下(5段階) 15件中0件 15件中0件

明暗差2.1〜3.8は、読み取りの処理のしかたで結果が逆になりました。画面上の1つの読み取り部品でもこれだけ揺れるので、スマホのカメラや紙では、さらに動くと考えてください。両方の条件で読めたのは4.4以上です。

切り方・重なり・大きさ:角の四角を欠かさない

丸く切るなら、QRは円の内側に縮めて置く

QRの3つの角にある四角は、QRの位置と向きを決める印です。丸いシールに合わせてQRごと円で切ると、この角が欠けます。

灰色の机の上の丸いシールを模した画像2枚。左はQRを円で切り抜いて角が欠け、読めなかった。右は円の内側にQRを縮めて置き、角と余白が残って読めた

測り方: 版1〜6のQR6種類を、円の直径をQR本体(余白を除く)の一辺の1.0〜2.0倍の8段階に変えて切りました(48件)。

  • 直径がQR本体の1.2倍以下では、18件とも読めませんでした(模擬では18件中1件)
  • 1.3倍では6件中3件
  • 1.41倍(正方形がちょうど円に収まる大きさ)以上では、24件とも読めました(模擬では24件中22件)

丸いシールに刷る時は、QRを円の内側に収め、さらに余白の分も円の中に入れると、角も余白も欠けません。

中央に何かを重ねるなら、面積を小さく

QRには汚れや欠けを補う仕組み(誤り訂正)があり、強さを4段階(L・M・Q・H)から選べます。ただし、補える量には上限があります。中央に白い四角を重ねて、覆う面積を5%から40%まで変えました(強さ4段階×QR3種類×8段階=96件)。

強さ 読めた上限 読めなくなった所
L 5%(3件中3件) 10%以上は21件中0件
M 10%(3件中3件) 15%以上は18件中0件
Q 10%(3件中3件)、15%は3件中2件 20%以上は15件中0件
H(いちばん強い) 10%(3件中3件)、15%は3件中2件、20%は3件中1件 25%以上は12件中0件

いちばん強いHでも、中央の2割を覆うと3件中2件は読めませんでした。ロゴやシールを後から貼る時は、QRの面積の1割以内に収めるのが目安です(画面上の結果。紙では測っていません)。

URLが長いと、同じ幅でも1マスが小さくなる

QRのマス数は、入れる文字数で決まります。URLが長いほどマスが細かくなり、同じ大きさに刷っても1マスが小さくなります。QRを縮めて表示し、画面上で読める一番小さい幅を探しました(URL4種類)。

入れたURLの長さ マス数(版) 読めた一番小さい幅(余白込み)
21文字 25マス(版2) 52px
29文字 29マス(版3) 54px
76文字 37マス(版5) 62px
123文字 49マス(版8) 78px

どの長さでも、1マスが約1.4〜1.6pxを切ると読めなくなりました。画面上では、123文字のURLは21文字のURLより約1.5倍の幅が要りました。この px の値は画面上の話で、紙の cm にはそのまま置き換えられません。

デンソーウェーブの説明(一次資料)

QRコードを開発したデンソーウェーブも、余白は4マス以上、文字や絵を重ねない、白地に黒を基本に、と書いています。原文は次のとおりです。

「マージンとはシンボルの4辺を囲む、何も表示されない領域です。上下左右、それぞれ4セル分以上の確保が必要です。」

— デンソーウェーブ「コード領域を確定するためのポイント」 https://www.qrcode.com/howto/code.html(2026-09-30 到達)

「QRコードの周囲に、文字や絵を配置すると、マージン(余白)を確保することができません。」

「QRコードと重複するエリアに、文字や絵などのシンボルを配置す ると、明暗のコントラストが不鮮明になります。」

— デンソーウェーブ「読み取りトラブルの例」 https://www.qrcode.com/howto/trouble.html(2026-09-30 到達)

「基本は白の背景に黒で印刷して下さい。」

— デンソーウェーブ「FAQ」(QRコードを白黒以外の色で印刷する時の回答) https://www.qrcode.com/faq.html(2026-09-30 到達)

「セルが大きいほど、QRコードスキャナで読み取りやすくなります。」

— デンソーウェーブ「セルの大きさを設定するためのポイント」 https://www.qrcode.com/howto/cell.html(2026-09-30 到達)

ここでいう「セル」は、この記事でいう「マス」(点1つ分)です。余白4マスは開発元の示す必要量で、この記事の画面上の結果(1マスで読めた)より厳しい値です。配る物は4マスに合わせてください。

間違えやすい点

「見た目の問題」と思われがちな所ほど、読み取りに直接効きます。

よくある思い込み 実際
余白は見た目の余白で、詰めても読める 余白は角の四角を見つけるための場所。濃い地・柄・文字の上で余白なしは9件中7件が読めなかった
色が違えば区別される 今回の読み取りの部品は明るさだけを見る。明暗差1.9以下は15件とも読めなかった
丸いシールなら、QRも丸く切ればよい 角が欠けると読めない。直径がQR本体の1.2倍以下は18件とも読めなかった
強さを「H」にすれば、中央に何でも置ける Hでも中央の25%以上を覆うと12件とも読めなかった
大きく刷れば、URLの長さは関係ない 長いURLはマスが細かくなる。同じ幅なら短いURLのほうが1マスが大きい

測っていないこと・ここから先は推論

  • 紙に刷って、スマホのカメラで読む確認はしていません。この記事の件数は、すべて画面上の画像を jsQR という読み取りの部品で読んだ結果です
  • iPhone・Android の標準カメラや、ほかの読み取りアプリでは試していません。読み取り方が違うので、境目の数字は動くと考えてください
  • 「模擬」はぼかし(1.2px)と明るさの揺れ(±5)を足しただけで、カメラの再現ではありません
  • 印刷のにじみ(小さな点が太る)、光沢紙やラミネートの反射、缶やカップのような曲面、薄い色の網点は測っていません
  • 余白が1マスで読めたのは画面上の結果です。紙で何マスあれば足りるかは測っておらず、4マスを守るべきという判断は開発元の説明に拠っています
  • 明暗差は灰色だけで測りました。色つきでも明るさの比で同じように振る舞うというのは、今回の読み取りの部品が明るさだけを見ることからの推論です。スマホのカメラの読み取りが同じかは確かめていません。また、明暗差4.4と3.8の間は刻みの外で、測っていません
  • 何 cm に刷れば読めるかは、この記事では出せません。px の値を cm に換算しないでください

やっとくんのQRコード作成で避けていること

やっとくんのQRコード作成は、上の5つの原因を作る段階で避ける作りにしています。

やっとくんのQRコード作成の画面。細かい調整の「余白」に「4マスより狭くはできません(読めなくなるため)」と表示され、右の結果の枠に「読み取りを確認しました。」と出ている

  • 余白: 4マスより狭くできません。枠や「用途」の文字、丸シールの形の枠も、余白の外側に置きます
  • 色: 選べる色は、白との明暗差4.0以上のものだけです。橙・黄・水色・桃は最初から出していません
  • 角と右下: ロゴや写真を全面に敷く見本でも、3つの角の比率と、右下の小さな四角(位置合わせパターン)の大きさは残し、周りに白い縁を付けます。この描き方で、ロゴ・写真・絵・柄など36種類の素材を3つの表示幅(720・480・320px)で読み取り、36件すべて読めました(2026年9月23日。画面上の読み取りのみ)
  • 重なりと大きさ: 内容が短いほど点が大きくなることを入力欄に書いています。中央のロゴは読み取れる大きさまでしか大きくならず、読めない時は自動で小さくします
  • 保存する前の確認: 作ったQRを実際に読み取り、入力した内容と一致するかを照合します。読めない時は点の濃さや大きさを段階的に調整し、最後まで確認できなければ保存できません

この確認も画面上の読み取りです。配る前には、刷った物を自分のスマホで読んでください。

次の1手

保存する前に読めるかを確かめたい時は、やっとくんのQRコード作成を使ってください。余白と明暗差の足りない形は最初から選べず、保存の前に読み取りを照合します。登録不要・無料で、入力した内容はブラウザの外に送りません。

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やっとくんで作れる見本「普通(赤・角丸)」余白と明暗差の足りない形は最初から選べない。保存の前に読み取りを照合する見本を選んで、内容や色を変えられますこのQRを作る